夏の暑さから健康を守るために

今年も夏の暑さが気になる季節になりました。クールビズの開始や、夏休みの計画など様々な取り組みや行事があります。しかし、厳しい暑さにさらされることは公衆衛生上のリスクを高め、十分な注意が必要となります。気温はしきい値を超えて1度上がるごとに死亡率は2~5パーセント増加すると言われています。

10年前の2003年、ヨーロッパを襲った夏に熱波により死亡率が上昇しました。いくつかの都市においては、熱波による死亡率が予想されたピーク時のレベルより4倍から5倍高くなり、最終的には12カ国で死亡者数が7万人以上増加しました。このリスクの高まりは、「都市部のヒートアイランド現象」と呼ばれており、都市部では周辺の郊外部に比べて5度以上気温が高くなります。高温はオゾン層に悪影響を及ぼし、粒子状物質による大気汚染を悪化させると言われています。

また、人口増加、高齢化や都市化は熱ストレスのリスクを高める要因ともなります。2050年までに、途上国の都市部に住む65歳以上の人口が少なくとも3倍増加すると予想されています。また、2050年代には、現在20年に1度程度の割合で起こっている熱波などの事象が、平均2年から5年に1度の割合になることが予想されています。これにより、熱ストレスとその対策は、今後数十年のグローバル、国、地域レベルにおける健康課題や優先事項になると考えられます。

2013年5月、WHO神戸センターでは、テクニカルレポート「異常高温から人々を保護し、人体への悪影響を最小限に抑制:兵庫県のヒート・ヘルス行動枠組みの作成に向けて(仮訳)」(“Protecting the public and minimizing health effects from heat: towards the development of a Heat-Health Action Framework for the Prefecture of Hyogo, Japan” (WHO, 2013)) を発表しました。

このレポートは、兵庫県における熱中症を予防するための包括的な公衆衛生システムの構築への取り組みを支援するために作成されました。本レポートの作成においては、国および地方自治体の関係者を交えての証拠基盤の構築が行われました。

証拠基盤の構築と経験から得られた教訓は、気候と健康、保健医療関連サービスとの間の様々なレベルでの緊密な協力体制を敷き、新たな環境・健康面における課題に対応する必要があるということです。例えば、2003年にヨーロッパを襲った熱波の後、現時点で17カ国においてヒート・ヘルス行動計画が確立されています。

地域レベルでは、天気予報では、高温が健康に害を与える可能性がある場合の警告だけでなく、オゾンや粒子状物質による大気汚染のレベル、花粉や紫外線についての情報も提供されます。このようなサービスが、行動のためのガイダンスや計画に適切に組み込まれることにより、個人やコミュニティーが健康への害を回避・抑制することを可能にし、健康を守ることに繋がると言えます。

個人レベルにおいては、夏場の暑さに対処するにあたっては、以下の事柄に留意することが大切です。

  • 暑さへの対応力を養い、暑さに備えた生活態度を心がける。
    • 日中、なるべく日差しに直接当たらないようにする
    • 水を多めにかつ定期的に飲む
    • 服装に配慮して、軽く、袖の短いゆったりとした綿素材のものを身につける(「クールビズ」を実践)
    • 屋外では、日焼け対策を万全に
    • 果物や野菜を食べ、こってりした食事やアルコールは避ける。コーヒーの飲み過ぎにも注意
    • 喫煙は慎む
    • 熱中症の兆候を知っておく、また、発症時の応急手当ができるようにしておく
  • 周辺環境への目配りを
    • 家や職場など屋内で過ごす際には、できるだけ屋外の気温に近く、28℃を目処にエアコン温度を設定。扇風機を活用する。
    • 日中の暑い時間帯、直射日光を受ける窓には遮光を施す
    • 発熱を伴う不必要な電化製品等(白熱灯など)の電源は切る
    • 地域のニュース番組や保健当局から発信される注意報など、情報収集は怠りなく

留意点:
乳幼児、高齢者、ホームレスなどの生活困窮者、また、病弱であったり障害があるなど、より影響を受けやすい人々にとって、暑さのもとに身を置くことは、健康を損なうのみならず、生命の危険も招きかねません。事実、炎天下での激しい運動などりより、誰しもが暑さのために増幅した健康リスクにさらされるのです。

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